盲目の女性旅芸人集団”瞽女”とは、上越地域に昭和中期まで残っていた文化で、2~3人の瞽女さんたちが、一年に一度瞽女宿と呼ばれる地方の有力な方に宿泊しながら、屋敷の中で三味線の演奏や唄・語りを披露する風習です。20世紀初め瞽女は新潟県に500人いたといいます。
絵本「瞽女さの春」(ますやまよしこ・文 まつだよしこ・絵)はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CW1N9RRW?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_KFKK1FJY6V0X3PZRSQ5M
2023年にこの世を去った ますやまよしこが幼少期に出会った瞽女“サトさあ”との交流を描いた「瞽女さの春」が2024年2月24日に電子書籍出版されました。多摩美術大学油画科出身でイラストレーターのまつだよしこが、太陽をたくさん浴びた黄色い菜の花、瞽女さを迎える人々の温かな表情など生命の喜びに満ちた素晴らしい絵を描きました。
千葉県千葉市に ますやまよしこ が住んでいた時、隣に住む まつだよしこ と意気投合したことから企画が始まり、2016年には文芸社より出版されました。今回、ますやまよしこ の娘である増山麗奈が新たなあとがきを添え、代表理事を務める一般社団法人ユーラシア国際映画祭が電子版「瞽女さの春」を発行しました。
【ハンディキャップを抱える女性が地域と共生】
一年に一度、厳しい労働である田植えを終えた後、村を訪れる瞽女は、人々にとって喜びや娯楽を与えてくれる存在でした。そして、それは雪深い上越で、身体にハンディキャップを抱える女性たちが社会の中で共生する救済システムでもありました。
幼い少女 “みよ”は、瞽女さを迎えるための、餅草(よもぎ)を摘んだり、お布団を干したり、精一杯の準備をします。盲目の瞽女さの“サトさあ”は、針に糸を器用に通し、繕い物を行い、起きている間はずっと七五調の歌を歌い続けるなど厳しい稽古を続けます。その姿を見て“みよ”は「瞽女さは偉いなぁ」と呟きます。村の人たちが集まり、待ちに待った「歌と語り」が始まります。
ますやまよしこがその目で見た、人々が支え合う絶妙なバランスで成り立つ、生きた文化の貴重な記録です。
絵を担当したまつだよしこは、長野県東御市で開催されている天空の芸術祭で、展示場所として自宅である古民家「五来軒」を解放するなど文化発信に携わっています。
本著「瞽女さの春」執筆をきっかけに、20代に視力を失い最後の瞽女さんから教えを受けた方から指導を受けた広沢里枝子さんを囲む演奏会「瞽女の会」を五来軒で開催しました。
まつだは「増山良子さんが受け取ったごぜさんの深い思いや優しさがもう一人のよしこに伝わりました。その本を手にした方から、瞽女さんの唄を唄われる広沢里枝子さんに手渡されてその心を動かし、さらに多くの人に聴いていただくことになりました。良子さんが幼い日に受け止めた光が時を超えて今、輝いていることに不思議な力を感じています」と語ります。
東京MXテレビで能登・北日本応援ドラマ「ピースラリー」などテレビドラマ制作の脚本制作に関わる増山は「ダブルよしこさんが生み出した作品に関われて幸せです。いつか母の体験をもとにした『瞽女さの春』をテレビドラマ化したい」という夢を持っています。
テレビが誕生する以前に上越地域にあった瞽女さとのふれあいが、今再び人々の心を繋ぎ、優しい光を灯しています。
絵本「瞽女さの春」はキンドル出版で2月24日~2月28日まで無料で閲覧できます。(その後は一冊99円)
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絵本「瞽女さの春」(ますやまよしこ・文 まつだよしこ・絵)はこちら↓
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