露アムール州政府主催の第21回アムールの秋映画祭内企画「日本シネマデイズ」で映画「サダコの鶴」上映〜プーチン大統領・金正恩会談日に、露政府保安庁反対を押し切りロシア市民の声によって上映が実現〜

(2023年)9月13日、4年5カ月ぶりにロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の極東ロシアアムール州での会談当日、同州政府主催映画祭で核廃絶を願う映画「サダコの鶴」(増山麗奈・樽谷大助監督)が上映された。 映画「サダコの鶴」は広島原爆の被爆者であり白血病で亡くなった12歳の少女佐々木禎子と、福島原発事故の被害を体験した少年シンジが時空を超えて出会い核兵器のない世界を願う物語である。
佐々木禎子さんは、病室で1000羽の折鶴を折り、広島平和記念公園には彼女をモデルにした“原爆の子像”が建てられている。

2023年広島G7サミットでは、“サダコの折鶴のレプリカ”が各国首脳に寄贈された。
現在「禎子の折鶴」は佐々木禎子さんの家族やブラジルの団体の共同申請で、ユネスコ「世界の記憶」登録申請中だ。
露アムール州政府主催の第21回アムールの秋映画祭内企画「日本シネマデイズ」(一般社団法人ユーラシア国際映画祭企画)のプログラムとしての上映だった。
ユーラシア国際映画祭代表理事であり映画監督の増山麗奈、同団体理事の樽谷大助両氏はロシアアムール州政府より招聘を受け現地に赴いていた。

戦争中、表現規制が厳しいロシアでの上映は一筋縄では行かなかった。樽谷大助監督はロシア入国時に空港で七時間ロシア入国管理局により拘束された。
「空港のパスポートチェック中に、妻がウクライナ人で、ウクライナ渡航経験のある私は別室に移動させられ、七時間携帯電話を奪われ、水も与えられないまま7人の監視員に囲まれました」(樽谷大助)。
当初9月12日に行われるはずだった「ダイバシティユナイテッド」(樽谷大助監督)、「サファイア」(夜西敏成監督)などの日本映画は、上映六時間前にロシア政府保安庁からストップが入り、上映中止を余儀なくされた。
しかし翌日13日朝、「上映を楽しみにしている市民から声があがった。映画『サダコの鶴』だけは上映を行う」とアムールの秋映画祭実行委員は発表。
奇しくも、13日は、同じアムール州ボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領と金正恩総書記の会談当日。

現在の地球で最も核兵器使用が懸念される二人のトップ会談日に同州政府主催映画祭にて、ロシア民衆の声により、核兵器廃絶を願う「サダコの鶴」上映が行われた。
「私は佐々木禎子さんの甥の佐々木 祐滋さんから折鶴のレプリカを預かり、世界中に平和への願いを広げる活動をしています。今回複雑な状況の中で映画上映を行なってくれたロシアのアムールの秋映画祭の関係者の皆様、ロシア市民の皆さんに感謝していております」(樽谷大助監督)
樽谷大助氏は、今後ローマ法王や核兵器廃絶でノーベル平和賞を受賞したオバマ元米国首相にもレプリカを届ける予定だ。
ロシアのアムールの秋映画祭は、ロシアで唯一映画の他演劇の発表やコンテストも行われ、規模・質ともに露5大映画祭の一つとして知られる権威ある映画祭。本映画祭内での日本映画上映の取り組みは一般社団法人ユーラシア国際映画祭企画により4年前より行われ、現在同団体は、ロシアの映画団体GOD KINO社と新作映画「歳三の刀」を製作中だ。


企画の中心となってきた増山麗奈は「今回の上映を通じて、ロシアの人々に禎子さんの核兵器の被害を繰り返さないという願いが伝わってほしい。現在ヴェネチア国際映画祭やカンヌ映画祭など西側の映画祭ではロシア排除の動きがあります。私たちは垣根や政治的な分断を超える、広い海のような文化の場を育てていきたい」と語った。
10月7~10日まで、韓国の釜山映画祭内プログラム『ACFE』ASIAN Contonts & Fim Marketで映画「サダコの鶴」のオンライン上映が行われる。(開催終了)

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